New Album「青虫」服部祐民子6th Album特設ページ
青虫ジャケット写真
サナギからまた生まれてしまった青虫は まだ蝶になれる「いつか」を見上げて歌うよ。
デビューアルバム「自画像」がこの世に出てから丸10年。そして前作「one」から約3年。いよいよフルアルバム「青虫」が2004/11/22リリース!!
編曲に「LOUDOGS」「Dugo」で活躍中のギタリスト・平野友義、そして前作「one」でもお馴染み、ドラムとギターだけのユニット・Brush&Picksを迎え、服部の新たな世界が完成しました。もちろん全作詞・作曲は服部祐民子。きっとあなたの心にズシンと残るアルバムです。
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TOPページへ 「青虫」について 収録曲の試聴 セルフライナーノーツ 「青虫」に寄せて

「青虫」について
服部写真三十路を迎えて、何ともなく日常が過ぎていた。別に30代になったところで、何か突然変わるわけでもなく、こんなもんかと思っていた。いくつになっても自分は変わらない。そう、良くも悪くも。
ふた月が経った頃、爺さんの7回忌で故郷に帰省した。珍しく時間があったので、自分の通ってた学校や住んでた町、良く行った場所に足を運んでみた。
・・・随分変わっていた。区画整理、拡張工事、時代の流れ。歩いていた道、見ていた景色、それがない。元の家のあった所にも行ってみた。実家が引っ越したので当たり前と言えば当たり前なんだが、うちはスッカリなくなっていて、妙な薬屋のチェーン店が建っていた。なんとも言えない気持ちになった。

変わらないのは自分の頭の中にある記憶だけだ。そう考えたら随分「思い出」がいっぱいあることに気付いた。デビューアルバムの曲の中で私は「あの頃は良かったとか、あの日に帰りたいとか、溜め息混じりに呟く幸せ、ずっと夢見ていた」という詞を書いている。若かった自分への気恥ずかしさとも、自分もそんな風に思う歳になるんだという切なさとも違う、単純に、それはもう手に入らない。二度と戻らないんだ。「あの日に帰りたい」と思うことはまだないけれど、ただそんなに時間が経ったんだと思ったら、ちょっと涙が出た。こんなことは初めてだった。

この1〜2年、いろんな出逢いがあった。一回り近く違う子達と遊ぶようにもなった。彼らを見ていると、その当時の自分を思い出す。そして、あまりにも単純で短略的で危なっかしくて、思わず口を出してしまいそうな自分がいて驚いてしまう。この若き「青虫」達にはこのアルバムの意味はまだ届かないと思う。そしてそれでいいと思う。私と同じ位時間を重ね、生きて来た人達に、このアルバムを送りたい。
2004年10月 服部祐民子

収録曲の試聴
試聴するにはWindows Media Playerが必要です。
※「愛の歌」のMP3フルダウンロードは04/12/15にて終了しました。
曲名 試聴(WMP) フル試聴(WMP)
01.盛岡 wmp30秒/64kbps
02.お願い wmp30秒/64kbps
03.女にして wmp30秒/64kbps
04.逢いたい wmp30秒/64kbps
05.ドア wmp30秒/64kbps
06.自由 wmp30秒/64kbps
07.青虫 wmp30秒/64kbps
08.天才 wmp30秒/64kbps
09.愛の歌 wmp30秒/64kbps wmp4分9秒/96kbps※
10.おんなじものでできている wmp30秒/64kbps

セルフライナーノーツ

01.盛岡

「盛岡ってどこにあるの?」。出身地を訊かれるたび、同時に放たれる言葉。私も他の街の場所を知らな過ぎるから、哀しいワケじゃない。ただ説明するのがそろそろ面倒になっている。自分の生まれた街から離れて暮らしてる人は、同じ気持ちの人もいるだろうな。
ちなみに 前作「one」の中の「家」で歌ってるのは2番目に住んだ家。「盛岡」で歌ってるのは3番目の家。

02.お願い
このアルバムで一番古い曲。1997年、4th Album「アドバルーン」の曲作りの時に出来て、ライブではもう何度も歌ってる。さすがに歌詞が若いくて可愛い。「だって好きなんだもん」だけで支配される心。

03.女にして
「女としていろんなことを忘れているのは、恋をしてないせいだ」という結論の元に書いた。ある意味人のせい。でもそういう女は可愛いと思う。4年くらい前の曲。

04.逢いたい
これも4年くらい前の曲。そして服部レコーディング初の「一発録り」。私はギターを弾きながら歌っています。もちろん、ギター、パーカッション、ピアノも全て一緒に「せーの」で。さすがにこの曲だけ緊張感が違う。
一本の間違い電話から蘇る、終わった恋の歌。

05.ドア
とある人間に散々な裏切り方をされて書いた曲。
人の真似しか出来ない奴、誰かに依存してる奴、自分の隙間を異性で埋める奴。「自分はもっと凄いんだ」という証拠を見つけなければ終わらない「自分探し」。しかしそんな弱い弱い弱い心は、誰の中にも存在するのだな。

06.自由
「引きこもり」は嫌いだ。なんで嫌いかと言うと、自分もそういうところがあるからだ。昔々に心に描いた「自由」はいつの間にか、自分にとって都合のいい「言い訳」になる。嫌なことから逃げるたび、いびつになる「自由」。それにすがって生きてる時間は誰のものだ?

07.青虫
「あの頃」の自分にもし逢ったら、胸を張れる?うつむかないでいられる?そして私は私に何て言う?
もう青くないから難しい、蝶になり損ねた青虫の歌。

08.天才
子供は遊びの天才だ。どんな場所でも何かを見つけて遊んでいる。しかられようが面白ければまた繰り返して笑っている。そんな、みんな持ってた天才的才能を、いつどこで失くしたんだろう?ってことを思って20代後半に作った曲。

09.愛の歌
「愛」になれなかった「恋」の歌。あの景色はもうどこにもないけれど、僕には見えるんだ。
歌入れは私史上最短記録の2時間でした。この曲だけ、いい意味で力抜けてる。

10.おんなじものでできている
いつだって自分を好きでいたいし、笑っていたい。世界中の人間にそれができたら、犯罪も戦争もなくなるんだろうか。あれもこれも全ては表裏一体。おんなじものでできている。

ミュージシャン・スタッフ

プロデュース
大山秀雄(IQ7073)

全作詞・作曲
服部祐民子

編曲
平野友義
Brush&Picks

ギター
平野友義
岩田浩史(Brush&Picks)
服部祐民子

ベース
中鉢俊哉

ドラム
矢壁篤信
野口明彦(Brush&Picks)

パーカッション
矢壁篤信
野口明彦(Brush&Picks)
濱野泰政

"逢いたい"ピアノ
鹿島伸夫

"愛の歌"プログラミング
イズタニタカヒロ

"青虫"コーラス
相沢友子
甲斐名都子

ヴォーカルディレクション
大山秀雄(IQ7073)

ヴォーカルレコーディング
諸鍛冶辰也
宮坂知恵

レコーディングエンジニア
諸鍛冶辰也
宮坂知恵
松山茂生

ミキシングエンジニア
イズタニタカヒロ
諸鍛冶辰也
 
マスタリングエンジニア
イズタニタカヒロ

アートディレクション&デザイン
本田宏一

写真
大山秀雄(IQ7073)
服部祐民子

携帯でも試聴可能!

携帯版「服部んち」でも曲の試聴ができます。
3GPP形式の音楽ファイルが読み込める機種(FOMA等)であれば、ダウンロード&試聴可能です。
下のQRコードで携帯サイトへ!
QRコード

服部祐民子「青虫」に寄せて ー 相沢友子

 1998年。私は須藤晃さんの個人事務所、カリントファクトリーによく出入りしていた。須藤さんとお仕事をしていたというわけではない。その頃の私といえば、所属していた事務所・レコード会社共に契約が切れてしまい、歌う場所もなく、ただただ途方に暮れている状態だった。そんな私に昔からいろいろと相談に乗ってくれていた須藤さんが、「好きな時に来て、好きなだけいればいいよ」と厚意で言ってくれたのである。
 おそらく、何をやってもうまくいかず、焦れば焦るほど空回りして、そもそも何がやりたかったのかすら分からなくなっていた私に、新しい音楽が生み出されていく現場の空気に触れさせることで、刺激を与えようとしたのではないだろうか。その結果「もう一度がんばってみよう」と思うか、「やっぱりもう諦めよう」と思うかは本人次第・・・そう考えていたのだと思う。

 当時須藤さんがプロデュースしていたアーティストは3人いて、その中のひとりが服部祐民子だった。彼女の存在は須藤さんから紹介されるまでもなく、ずっと以前から知っていた。同じレコード会社からデビューしていたし、詩の世界観が似ているからとスタッフに言われ、アルバムも聴いていたからだ。
 デビューアルバム「自画像」を初めて聴いた時、私は「この人の言葉には嘘がない」と直感した。思春期特有の苛立ち、抵抗、憤り・・・そういったものを身を削って綴られたかのように見える詩の中にも、ニセモノはいくらでも存在する。誰かの指示を受けて(または自分の意思によって)いわゆる「ポーズ」で書かれたものがいかに多いことか。でも、服部祐民子の言葉は間違いなく彼女自身から生み出されたものであり、その言葉がもたらす痛みはそのまま彼女が抱えている痛みであると、歌を聴いていて強く思った。いつか機会があったら彼女と話をしてみたい、実は秘かにそう思っていたのである。
 が、実際にその機会が巡ってきても、私は彼女と挨拶を交わしただけで話をすることができなかった。彼女が極度の人見知りであると聞かされていたせいもある。でも本当は、今をがんばりきれていない自分を見透かされてしまいそうな気がして、彼女と向き合うのが怖かったのかもしれない。

 そんなある日。いつものように事務所でぼんやりしていると、レコーディングスタジオから戻った須藤さんが勢いよく飛びこんできた。
 「ちょっと、すごいのが録れちゃったよ、聴いてくれよ!」
 興奮気味に言いながらMDがステレオにセットされる。一瞬の間があり、大音量で流れてきたのは、「アドバルーン」という曲だった。
 
 答えが見つけられない時は答えなんてない時で
 気づけば手にしてたなんてよくある話さ
 退屈も憂鬱も見方を変えたなら幸せ
 忘れた頃に振り向いて笑い飛ばせるさ

 スピーカーから聴こえてくる彼女の真直ぐな声に、私は思わず両手で耳を塞ぎたくなった。かろうじてその衝動を抑え、最後まで歌に耳を傾けてから、何も言わずに部屋を出て屋上へと向かう。自分がどうして泣いているのか、自分でもよく分からなかった。けれど、泣いているうちに胸の痛みが少しずつ消えていき、不思議と気持ちが楽になっていくのを感じた。そしてふいに思った。「もう一度がんばってみよう」・・・
 それ以来、服部祐民子の歌は私の中で特別なものになった。

 それから月日は流れ、彼女も私も須藤さんのもとを離れて、また別の場所で再会を果たすわけだが、出会いというのはつくづくタイミングなんだなと思う。再会してからのふたりはそれは急速に親交を深め、あっという間に10年来の友人のようになってしまった。
 服部祐民子は私が想像していたより遥かにたくましく、飄々としていて、時折おかしな言動をする不可解な人物だったが、彼女の歌う言葉に嘘がないという直感は正しかった。
 あれはいつだったろうか。「一気に新曲ができたから」と言って、彼女がギターと歌だけで録音されたデモテープを聴かせてくれた。その中に「青虫」という曲が入っていた。蝶になれるはずだったのに、殻を破って出てきてみたらまだ自分は青虫だった・・・そんな歌のある一節に、私は「アドバルーン」を聴いた時と同じ衝撃を受けた。

 「大人です」全部背負って今ここに立ってる
 あの頃に大きなガッツポーズを渡そう
 サナギからまた生まれてしまった青虫は
 まだ蝶になれる「いつか」を見上げて歌うよ

 彼女の歌は、無防備だった心の隙間に見事な角度で食いこんでくる。自分でも忘れていたこと、気づかずにいたものが、ヒョイと目の前に突きつけられるような、そんな感覚だ。またしても理由のよく分からない涙がこみ上げてきて、私は「まいった」と心で呟いた。
 
 アルバム「青虫」は前作「ONE」から3年半の時を経て発表された。これはファンにとっては長く待ち遠しい時間だったかもしれない。でも、周囲を見渡してみると、アルバムを出すごとにクオリティが落ちているというアーティストたちが何だか少なくないように思える。それにはもちろん様々な事情があるのだろうが、「時間に追われる」というのが大きな要因のひとつとなっているのは間違いない。
 彼女にも、3年半の間には葛藤や不安、焦りに押し潰されそうになった瞬間が何度もあったことだろう。それでも、決して無理に口を開こうとはせず、じっと息をひそめ、胸の内から"叫び"が産声を上げるのを待っていたのだ。「青虫」が以前に発表されたどのアルバムにも引けを取らない作品となったのは、その時間があったからこそだと思う。
 彼女の表現に対するかたくななまでに純粋で、真摯で、揺るぎない姿勢に拍手を送りたい。そして今、どこかで、がんばりたくてもがんばれずにいるひとりでも多くの青虫たちの耳に、服部祐民子の歌が届くよう心から願う。

2005年2月 相沢友子
相沢友子(脚本家・アーティスト)
1991年「Discolor days」でソニーレコードよりデビュー。2000年「世にも奇妙な物語2000春の特別編・記憶リセット」を皮切りに数多くのドラマ・映画の脚本を手掛ける。主な作品に「私を旅館に連れてって」「恋ノチカラ」「いつもふたりで」「エ・アロール」「めだか」など。2005年11月に映画「大停電の夜に」が公開予定。
オフィシャルサイト:http://www.aizawatomoko.com


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