井筒監督の凄さを知った日 |
暑くて眠れないので久々にレンタルビデオ屋に行って、
「恋とスパイと大作戦」「恋の門」「パッチギ」を借りた。
「恋とスパイと大作戦」は、個人的に好きなウディ・アレン監督・脚本で、
主演は私が中学〜高校時代、異常な程大ファンだったマイケル・J・フォックス。
そういや切り抜きは勿論のこと、部屋には特大ポスター貼ってました・・・。
若かったんだなぁ、自分。今は通常の範囲で好きですが。
映画の内容は冷戦時代の旧共産圏(多分旧ソ連)にある、
アメリカ大使館内でのドタバタコメディ。
マイケル・J・フォックス出演作品はこれ以外全部、
ウディ・アレンの監督作品も結構な数見ているが、
ふたりが出演しているのにこの作品は見るのを忘れていた。
・・・と思ってたら、どうも昔深夜にテレビで見た映画だったことが判明。
そうだ、これ途中でチャンネル変えちゃったヤツじゃん。
序盤からウディ・アレンお得意の、人の話の腰を折る話術炸裂。
さすがと笑いつつ、逆にそれが中盤以降イライラしてくる原因にもなる。
マイケル・J・フォックスも「マイケル・J・フォックスだ〜!」と喜びつつ、
あんまし突出していいとこがない。いや、レベルは高いのですがね。
・・・うーむ。何とか最後まで見たがちょっと苦しい。
マイケル・J・フォックスは若くしてパーキンソン病と診断され、
現在もその病と戦いながら生活しているため、
彼が出演している新しい作品は、声優として以外昨今ない。
最近どうしてもマイケル・J・フォックスが見たくて見たくて
DVDを買いあさったり昔の作品を見直したりしてるのだが、
この作品に限っては、なくてもいいかなぁと思った。
続いて「恋の門」。
私の大好きな脚本家・クドカンこと宮藤官九郎氏も所属する、
劇団「大人計画」の主宰・松尾スズキ氏が監督・脚本を手掛けた作品。
原作は漫画なので、内容も大変漫画ちっく。というか、キモおかしい。
石に漫画を書いてる貧乏な主人公(松田龍平さん)と、
コスプレマニアの同人漫画家(酒井若菜さん)のあり得ない恋の物語。
このふたりの演技は素晴らしく、松尾さんも好きなんだけど、
これも中盤以降の展開にイライラしてしまった。
3人が賞狙いで漫画描き始めるシーンまではいいんだけどな〜。
撮り終えたシーン中の余計な描写や表現をカットするのって、
監督にとってはとても勇気がいることなんだろうと思った。
さて、長くなりましたがやっと見ました「パッチギ」。
先日の森のビアガーデンにてぽんちゃんが強力に薦めていた映画。
実は井筒和幸監督の作品を見るのはこれが初めてでした。
監督はここ数年、深夜のテレビで散々いろんな映画をメッタ切りしてるので、
そういう人への期待と不安が両方あり、見るのをちょっとためらってたのよね。
・・・で、観ました。ちゃんと人間の「匂い」が強烈にしました。最高でした。
もう、最近の邦画に見られる押しつけの感動やらお涙頂戴の展開なんて
「クソくらえなんじゃあぁ〜!」とでも言いたげな位に素晴らしい作品でした。
序盤、時代設定が1960年代なので、
その時代特有の「濃さ」について行きにくかったんですが、
教師の変に偏った言動や友人の思想が傾いていく様などを見ているうちに、
ああ、こういう時代だったんだなと納得でき、それからはスムーズに入り込めた。
逆に今の時代って何て希薄なんだろうと心底思わせてもらった。
また、主人公が通う京都の府立高校と朝鮮高校間の敵対関係や、
差別、そしてこの日本でタブーとされる振る舞い、言動、歌、
それらがオブラートで包むことなく描かれていることに度肝を抜かれました。
いわゆる「差別用語」や「放送禁止用語」、「放送禁止歌」。
その中には、誰が決めたわけでもなく、
要するに「後々マズイことになるらしいから」という
「あるかもしれない」クレームに対しての漠然とした不安や責任の逃避からくる、
暗黙の了解というか、自主規制が働いた結果生まれたものが多くある。
そして、それによって「苦しむであろう」人間は、
本当はもっと違う深いところで傷ついているのだという現実。
うわべで取り繕って隠してしまうのではなく、
それをしっかり描くこと、見せること、そして知ることは、
個人個人が自分の頭で考えるために、とても大切なんだと思う。
公共の電波に於いてそれを用いることの難しさは多々あると思いますが、
映画の中で井筒監督はその問いも投げかけている気がします。
もちろん、それだけがメインではありませんが。
とにかくこの映画は、人間描写が上手い、テンポがいい、脚本がいい、
そして何より役者さんそれぞれの演技がほんっっとうに素晴らしい!!
個々が抱える悩み、問題、矛盾、葛藤、それを上手に描ききっていると思います。
ただひとつ個人的には、逆の立場や中立の立場の「大人」が
もう少しどこかで登場しても良かったかなと思った。
(主人公の母親とラジオプロデューサーくらいだった)
でもそれだとあの「濃さ」は出ないのかもなぁ。
・・・ということで、最後に本当にいい映画を観れて良かったっす。
濃いぃ人間っていつの時代も絶対に必要だなぁ。
昔は普通にいっぱいいたんだろうなぁ(個々の思想は別として)。
さっきも書いたけど、本当に今の時代って何から何まで希薄だと改めて思う。
生きてる実感を得られないって、何て哀しいことなんだろう。
井筒さんの他の作品も見てみようと思いました。
1月30日(日)くもり / 『パッチギ!』(TOHOシネマズ木曽川) この前買った、『パッチギ!』のサウンドトラックを全部通して聴いてみた。うーーーーーーーん。微妙。「唄」が入っているのは、『イムジン河』(3曲)と、『悲しくてやりきれない』と『あの素晴らしい愛...
ウェブログ:桂木ユミの「日々の記録とコラムみたいなもの」
時刻:2005年08月18日 (木)
いや〜びっくり!服部さん、オレは今さっき「パッチギ!」を観ておわったところ!そのあと日記みたらその映画の話題!偶然ってすごいなぁ。 はい、服部さんの言うとおり良かったっすよ。今年みた邦画の中でベスト3にはいりました。ここ最近の邦画監督ではこういった映画をとれる人はいないなぁ。でも井筒さんの過去の映画では笑いに偏りすぎたりしていたりして好きではなかったですが今回はいいバランスで井筒作品ベスト1です!あと服部さん、「二代目はクリスチャン」もおすすめ(^^)v でも最近の洋画はどうも不作ばかり…今は邦画ばかり見ています。
服部さん、佐々部清監督の作品も観てみたら?外れはないですよ。心地いい後味感と感動を与えてくれて丁寧な描写で描く作品が多くお薦め。
僕もちょうど1週間くらい前に「パッチギ!」を観たばっかりです!ホントいい映画でした。役者さんの演技もみんな素晴らしい!1回通して観て感動して、印象深かったシーンを再度観て、トータル3回分くらい観たかも(汗)。
特に、真木よう子さんの迫力ある演技と、小出恵介君のすっとぼけた演技がよかった。真木よう子演じるガンジャなんて、看護婦になる前後で同一人物だって最初気付かなかったもんなぁ(笑)。
あの時代特有の「匂い」も好きなんですよね、個人的に。って、自分まだ生まれてないんですが。でも、「坂崎酒店」の内装なんか見ると、その懐かしい雰囲気に打ちのめされてしまいます。


